遠距離介護体験記

田舎で独居の母が90歳になったのを機に退職し、8年弱遠距離介護をした体験談(姉弟等にメール連絡した内容)及び母亡き後の家、田畑、お墓について

家・田畑について

6 家・田畑について

遠距離介護が始まって間もないころから、それまで放置してあった家、屋敷の相続登記を始めました。先ず実家に有った登記書を確認したところ、母名義の90㎡の田と預貯金以外は全部父名義のままでした。更に家の建っている場所は農地のままでした。

それまで法務局とは全く無縁でしたからネットで調べながら遺産分割協議書を作成し、相続権のある母・姉・弟から協議書に押印と印鑑証明書・住民票取り付けをして貰い、法務局に届け出をしました。その時父名義のままの預貯金は全部母名義に、家・納屋・宅地・田畑は私名義で申請しました。

基本的には申請通りだったのですが、法務局の方が「建物は何れ壊れるから名義変更しない方が多いですよ」と親切に教えてくれたので節約の意味もありそのままにしたのと、母名義の田は相続登記(農地は生前贈与出来ない)でないのでそのままでした。

その後納屋を解体したり、母が亡くなった後農地を相続したり、解体しなかった家・納屋の名義変更をしたり、農地を宅地に変えたりと、滅失登記、相続登記、名義変更、地目変更で姉・弟には2重3重に同様の書類の取り付けと押印をして貰いながらの手続きでした。

良い勉強になりましたが、この間次の様な事を感じました。

〇家の名義変更

空き家でそのままにして置くのは問題があると思い、売却か賃貸かを考えました。そうすると父の名義のままと言う訳に行かず、自分の名義にしておこうと思い名義変更しましたが、これが結構面倒でした。

相続した時点にさかのぼる訳ですが、その時点では母が生きていますが名義変更の時点では生きていません。そこで先ず母が亡くなった事の証明、相続した時点の遺産分割協議書の内容に間違いないことを姉・弟に証明して貰う必要がありました。法務局としても適当に済ます訳には行きませんから、全て書類で証明しなければなりません。

後で、自分が手数料を少しケチったのと、法務局の方の親切心での「建物はその内壊れるから名義変更しない方が多いでよ」の言葉を恨みました。

〇田に対する疑問

 現在は、少子高齢化が進み、地方がますます人口減少するとともに仕事も減っています。

それには色々な原因があるでしょうから、私ごときがとやかく言う積りは毛頭ありませんが、農地の取り扱いもその一部にあるのではないかと思います。

我が家の農地は、以前小さな幾つもの田に分かれていましたが、ある時税金を投入して耕作し易い大きな長方形の田に改善されました。勿論治水もしっかりしていて、コメでも野菜でも機械力で耕作できる田と変わりました。

これには自国の食料自給率維持のために、農地を守る必要があったのだと思います。従って整備された田の制約はかなり厳しく規制されていて、農業以外の事は出来ないし、持ち主が誰にでも売却することは出来ません。ここまではある程度理解出来ます。私が問題視しているのは、そこからです。

整備された田に隣接している昔ながらの小さな田でも、耕運機等が行き来できる程度の道路が間にある位の所は、税金を投入して整備された田と同様に制約があると言う事です。

以下にそのことについて、市の担当、次いで農林水産省にメールで次のように質問をしました。

「親から相続した農地(6反弱)があり、その内5反弱は土地改良事業をされた田で現在他の農家の方に貸していますが、残りの約1反は県道を挟んだ南側に位置し昔のままの田で現在遊休農地状態にあります。田のある場所は故郷○○市ですが、私は東京に住んでいて直接管理が出来ませんので、市の農地バンクに登録するとともにみどり公社からの情報を得たりしながら、遊休状態の田を何とか活用できないかと考えていますが、未だに遊休農地状態が続いています。

そこでこの度太陽光発電を設置出来ないかと市の農業委員会事務局に問い合わせたところ、第一種農地だから太陽光発電を設置出来ないと回答がありました。

以上から

1.税金を投入して改良した田とそうでない田が何故同等なのか?

農林省として優良な農地を出来るだけ多くしたいのは理解出来るが、それが為「農地の集団性の判断事例」で示しているように、結果としてかなり第一種農地に包含されてしまうようになっている。

2.農地を守るのと活用するのでは、方向が違うと思が、現況は活用を阻害していないか?

現時点で遊休農地状態にあるにも関わらず、何か他の事業をしようすると農地法(第一種農地)を理由に阻止するのは、高齢化・後継者不足に陥っている農村の現況を踏まえると益々過疎化に拍車をかけると思う。

尚農政に関しては素人の私が感じたことですので、何か見落としとか認識違いがあるかも知れません。もしこういう方法があるよと言う事でしたら是非ご教示下さい。」

 これに対する農林省担当の回答ですが、(彼も規則の中での回答しか出来ませんから止むを得ないと思いますが・・・)太陽光発電を設置するのであれば、出来ないことはなく、パネルを上げてその下で野菜等を耕作するのであれば可能との事でした。

 私としては、現地管理が出来ないものだから何か方法が無いかと悪い頭を絞りながらあれこれ考えているのですが、その後はどうしようもなく現時点では現地の方に有料で草刈りをして貰っている状況です。

多分全国で考えると、似たようなケースでそのまま遊休放棄地になっている田がかなりあるのではと思われます。

この様な田には、規制を撤廃し何か仕事に繋がるように、もっと活性化する必要があるのではないかと思っています。

過疎化しているところでは何よりも先ず仕事を増やすことを考えるのが優先すべきことではないかと思います。

 

本日は以上です。